骨軟部肉腫治療研究会の歩み
平成12年6月
立石 昭夫
この研究会の歴史は古いものです。初めて会合が開かれたのは昭和56年、第54回日本整形外科学会が開催された横浜においてでした。この回の発案者は当時千葉がんセンター整形外科部長だった、高田典彦先生です。このとき集まったのは高田先生、私のほかに岐阜大学の竹内章二先生だったと思います。当時皆それぞれ中堅医師として活躍し、内外に研究成果を発表していましたが、いかんせん外国では日本の一施設での症例数では太刀打ちできず、口惜しい思いをしていたものです。
日本でも施設の枠を越えた多施設共同研究の必要性を痛感していました。それに、学会の場では、とかく話が建前論になりがちで本音で話し合えない不満もありました。そこで、まず私たちだけでも本音で語り合い、できれば症例を持ち寄って一緒に研究発表をしよう、と意見が一致しました。
立場上、私がそのような集まりのお世話をすることになり、以来、平成10年に私が大学を定年退職するまでの18年間、春の日本整形外科学会、夏の骨・軟部腫瘍学会、秋の基礎学会あるいは日本がん治療学会の折りに、年に2から3回開催して参りました。”本音で語り合える会””共同研究をまとめ、日本の腫瘍研究を世界にアピールする会”をモットーに、主に若い先生方の参加を求め会を続けましたところ、一時は全国30施設、参加者も70から80名という大きな会になりました。当時は開催費の一部を特定のメーカーに協賛していただいてましたが、その後の社会的コンセンサスの変化に応じ、平成6年からは不特定多数の企業の協賛に切り替え、組織を整備するため幹事会、代表幹事を置き会則を作りました。その際に、会の名称も当初の骨肉腫研究会から骨・軟部肉腫治療研究会へと変わりました。
ただ、実際には多施設共同研究は決して容易ではありませんでした。いかに多くのみなさんの合意を得ることが難しく、また比較的症例数の少ない悪性腫瘍の研究で、成績の有意性を客観的に証明することがいかに難しいかを、この会に参加されたみなさんは実感されてた事と思います。しかし、その困難さを乗り越えて、初めて良い研究が結実すると思います。
それでも、これまでこの会から数多くの国内外での発表や論文掲載がなされてきました。特に最近の2年間は川野先生、幹事会の皆さんの頑張りで、更に多くの研究がまとまりつつあるようで、大変うれしく思っています。今後とも皆さんで盛り上げていただき、この会がますます盛会となり、実りある研究成果を世界に発信していかれることを心から願っております。
令和2年2月6日ご逝去
骨軟部肉腫治療研究会規約
第一条 名称
本会は骨軟部肉腫治療研究会と称する。
(英語名称:Japanese Musculoskeletal Oncology Group ; JMOG)
第二条 目的
1)骨軟部肉腫の治療に関する知識および研究レベルの向上を図ると共に、会員相互の学
問的交流を深める。
2)骨軟部肉腫の多機関共同研究を行う。
第三条 会員
本会の会員は原則として医療関係者および研究者とし、本会の目的に賛同し会費を納めた
もの。
1)正会員は医師あるいは研究機関所属の研究者とする。
2)入会
本会の入会については、幹事1名の推薦と代表幹事の承認を必要とする。
3)退会
本会の会員で退会しようとする者は、理由を付して退会届を代表幹事に提出しなけれ
ばならない。
4)除名
会員が次の各号の一つに該当するときは、代表幹事および幹事会の承認を経て、代表
幹事がこれを除名することができる。
1.会費を2年間にわたり滞納したとき。
2.本会の会員としての義務に違反したとき。
3.本会の名誉を傷つけ、また本会の目的に反する行為があったとき。
第四条 役員
1)代表幹事
本会を統率する。
2)幹事
本会の事業遂行に助言を行う。
3)当番幹事
本会の事業を遂行するに必要な渉外交渉、諸準備を行う。
第五条 運営
本会を運営するにあたり代表幹事は次の会合を招集する。
1)幹事会
本会の事業内容について協議するとともに、事業遂行に必要な事項および事業内容の
必要な事項および事業内容の報告、本規約の改正等の協議を行う。
2)その他必要と認められた会合
第六条 研究会の開催
1)研究会は幹事が必要と認めた場合、代表幹事の招集により開催する。
2)原則として年1回開催し、多機関共同研究についての協議、骨・軟部腫瘍の診断、治
療に関する学問的交流を図る。なお、本研究会への参加は会員資格を有しない場合も
自由とする。
第七条 財務
本会の運営に必要な資金を次の方法により得る。
1)会費
年会費として正会員より2,000円納入するものとする。
2)研究会開催時に参加費を徴収する。
3)寄付
本会の目的に賛同する企業、団体、機関等より寄付を受けることができる。
4)本会の会計年度は毎年4月1日から翌年の3月31日までとし、会計報告は代表幹事
が幹事会に報告し、会計監事による会計監査ならびに幹事会の承認を得る。
第八条 事務局
本会を運営するにあたり、事務局は帝京大学医学部整形外科学講座内に置く。
〒173-8605 東京都板橋区加賀2−11−1
TEL 03-3964-4097
FAX 03-5375-6864
E-mail jmog.info@teikyo-u.ac.jp
代表者 河野 博隆
第九条 細則
本規約の改正は幹事会で協議し、決定する。
骨軟部肉腫治療研究会研究細則
1)この細則は、多機関共同研究を行う際、機関間で収集したデータを検討し、学会発表および論
文発表を行う場合の申し合わせを取り決めたものである。
2)本研究会の正会員は自ら提案し主任研究者になり得るが、その研究遂行の可否は幹事会におい
て研究計画の概要を発表し、幹事の総意で決定されるものとする。
3)主任研究者は、あらかじめ1名のsupervisorを指定し(主任研究者の所属する機関責任者また
は幹事のいずれか)、そのsupervisorを共同研究者に加えることとする。
4)また、細則3)で述べられたsupervisorは研究の進行状況、結果発表、研究終了まで責任を有
するものとする。
5)論文発表については、主任研究者が第一著者となる権利を有し、提供症例数の最も多い機関の
共同研究者は第二著者になることができる。
6)また、発表論文の著者の一人にsupervisor(幹事)を加え、さらに提供症例数上位5機関の機
関代表者も共著者に加えることとする。
7)また、残りの症例提供者についてはacknowledgementにその提供機関名、およびその機関の
共同研究者名を記載すること。
8)新規研究テーマとして過去のデータを使用する場合、研究概要を幹事会で発表し幹事の総意が
必要となる。
9)各機関で収集されるデータは、主機関および各機関の倫理委員会で承認された研究計画書およ
びプロトコルに従い管理される必要がある。
令和6年1月改正